自動操舵の精度とは

自動操舵システムは、作業内容やほ場の環境に合った精度を選ぶことが大切です。GPSとRTK-GNSSの違いから、精度が低下する原因、精度を高める方法、農作業ごとに求められる精度まで解説します。

自動操舵の精度はどのくらい?

自動操舵の精度は±数cm~十数cmが目安

自動操舵の精度は、測位方式や受信機、ほ場の環境などで変わります。GNSS単独測位では数m程度の誤差が生じる方式がある一方、RTK-GNSS対応製品には、測位精度を±2~3cm程度とするものもあります。ただし、測位精度と実際の走行経路のずれは別の指標です。製品ごとの仕様を確認しましょう。

RTK-GNSSなら数cmレベルの精度を実現できる

RTK-GNSSは、基地局などの観測データを使って衛星測位の誤差を補正する方式です。GNSS単独測位よりも位置のずれを抑えられるため、隣接する走行経路をそろえたい作業などに使われます。実際の走行精度は、操舵制御やほ場の環境などでも変わります。

参照:農林水産省「スマート農業技術カタログ(水田作・畑作)」

「±3cm」の意味とは?

「±3cm」は、基準となる位置に対してプラスマイナス3cmの誤差を示します。ただし、測位位置の誤差と、設定した走行経路からのずれは異なります。測位精度が±3cmでも、農業機械が必ず経路から3cm以内を走るとは限りません。製品を比べる際は、精度の対象と測定条件を確認しましょう。

自動操舵の精度を決めるGNSSとは?

GNSSは、GPSを含む衛星測位システムの総称です。衛星信号から位置を計算し、自動操舵では農業機械の位置を把握します。測位方式には、衛星信号を使う単独測位のほか、RTKなどの補正技術を使う方式があります。

RTK-GNSSならなぜ自動操舵の精度を高められる?

RTKとは?

RTKは「Real Time Kinematic」の略で、基地局と移動局のGNSS観測データを使い、リアルタイムで高精度な位置を求める方式です。衛星信号に含まれる誤差を補正し、位置をより細かく把握できます。

基地局から補正情報を受信する仕組み

RTK-GNSSでは、位置が既知の基地局で取得した観測データを使い、農業機械側の測位結果を補正。基地局をほ場に設置する方式のほか、電子基準点などのデータを通信回線で受信するネットワーク型RTKもあります。ネットワーク型RTKは、サービスの利用条件を満たせば、ほ場ごとに基地局を設置せずに使えるのが特徴です。

GPS/GNSSとRTK-GNSSの違い

GPSは米国の衛星測位システム、GNSSはGPSを含む衛星測位システム全体を指します。RTK-GNSSは、GNSSの信号に基地局などの観測データを組み合わせ、位置を補正する方式です。GPSとGNSSが衛星測位システムの名称であるのに対し、RTKは、基準局と移動局の観測データを用いてリアルタイムに高精度測位を行う技術です。

比較項目 GNSS単独測位 RTK-GNSS
測位方法 衛星信号を利用 衛星信号と基地局などの観測データを利用
誤差の目安 数m程度となる方式がある 数cm程度の測位精度を掲げる製品がある
補正情報 基本的に不要 必要

自動操舵の精度が低下する原因

GNSS衛星の受信状態

測位に使える衛星の数や配置が不十分だと、位置の誤差が大きくなります。山間部などでは、地形によって衛星信号を受信しにくくなることもあります。受信状態が悪化した際の自動操舵の動作は製品によって異なるため、取扱説明書で確認しましょう。

建物・樹木などの障害物

建物や樹木は衛星信号を遮るほか、信号を反射させて測位誤差を招きます。ほ場の周囲に高い建物や樹木がある場合は、衛星信号を安定して受信できる場所を把握しておきましょう。

RTK補正情報

RTK-GNSSでは、補正情報の受信が途切れると、高精度な測位を維持できないことがあります。ネットワーク型RTKを使う場合は、ほ場がサービスの対応地域に含まれているか、通信回線を利用できるかが導入の判断材料になります。

基地局との距離

基地局を設置する方式では、基地局と農業機械の距離などが測位条件に影響します。ただし、距離だけで精度が決まるわけではありません。利用する方式に応じて、基地局との距離やサービスの対応範囲を踏まえて運用することが大切です。

ほ場の傾斜・凹凸

傾斜や凹凸のあるほ場では、車体の傾きや動きが走行経路に影響します。農研機構の実証事例では、単調傾斜のほ場ではトラクターの直進走行精度が高かった一方、横傾斜などが重なる複合傾斜のほ場では、精度が低下するケースが確認されています。

※参照元:農研機構「農研機構技報 No.16」(https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/naro/naro_technical_report/ebook/vol16/pageindices/index33.html)

車体の揺れ

車体が揺れたり傾いたりすると、GNSSアンテナと作業機の位置関係が変わります。アンテナの位置情報だけでは作業機の位置を正確に捉えられないため、機体の傾きや動きを制御に反映する機能も製品選びのポイントです。

作業速度

作業速度が上がるほど、車体の位置や進行方向の変化に対する操舵制御の遅れが走行経路のずれにつながります。地面の凹凸で車体が揺れると、アンテナの位置や車体の向きも変化するため、設定した経路から外れやすくなります。

センサー・アンテナの設置

GNSSアンテナや姿勢センサーの取り付け位置がずれると、機体の位置や動きを正しく捉えられません。メーカーの指定に従って取り付け、必要な設定も済ませておきましょう。

自動操舵の精度を高める方法

RTK-GNSSを利用する

数cmレベルの測位精度が必要なら、RTK-GNSS対応の自動操舵システムが候補になります。播種など位置合わせが作業に影響する場合は、作業機や栽培方法に必要な精度を踏まえて選びましょう。

安定した補正情報を利用する

RTK-GNSSの精度を保つには、補正情報を安定して受信する必要があります。ネットワーク型RTKでは通信環境やサービスの対応地域、現地設置型では基地局の設置条件や補正情報の送信状態を確認しましょう。

GNSSアンテナを適切に設置する

GNSSアンテナは、衛星からの信号を受信して農業機械の位置を測る装置です。取り付け位置がずれたり、周囲の機器や車体に信号を遮られたりすると、測位精度に影響します。メーカー指定の位置と方法で取り付け、機器の交換後も必要な設定や調整を行いましょう。

IMU・姿勢センサーを活用する

IMUは、加速度や角速度を計測し、機体の動きや姿勢を把握する装置です。GNSSと姿勢センサーを組み合わせる製品では、車体の傾きや動きも制御に利用します。傾斜や凹凸のあるほ場で使う場合は、姿勢変化への対応機能も比べましょう。

ほ場環境を確認する

導入前に、ほ場周辺の建物や樹木、地形、通信環境を確認しましょう。衛星信号が遮られる場所や通信が不安定な場所では、必要な精度を保てないことがあります。実際に使うほ場で受信状態や走行状況を確かめ、環境に合ったシステムを選びましょう。

作業速度に合ったシステムを選ぶ

耕起や播種、防除など、実際の作業速度が製品の対応範囲に含まれているか確認しましょう。必要な精度だけでなく、作業条件にも合うシステムを選ぶことが大切です。

農作業には何cmの自動操舵精度が必要?

必要な精度は、作物や作業内容、作業幅、後工程によって異なります。耕起や整地では隣接する走行経路の重なりを抑えること、播種や移植では作物の列に沿って作業することがポイントです。

作業幅に対して許容できるずれや後工程で求められる位置合わせを基準に精度を選びましょう。数cmレベルの測位精度が必要なら、RTK-GNSS対応製品が向いています。

自動操舵は「精度が高ければいい」とは限らない

必要以上の高精度はコスト増につながる

高精度な自動操舵システムを導入すると、機器の購入費用に加え、RTK-GNSSの補正情報を利用するための費用がかかることもあります。求める精度に対して過剰な性能を選ぶと、導入費用や運用コストが無駄に膨らむため、作業に必要な精度を基準に製品を選びましょう。

作業内容によって必要な精度は違う

必要な精度は、作業幅や作業機の特性、後工程によって異なります。例えば、耕起では隣接する走行経路の重なり、播種では種をまく位置のずれが作業に影響します。作業ごとに許容できるずれを踏まえ、過不足のない精度を選びましょう。

測位精度だけで選ばない

測位精度が高くても、操舵制御の性能や対応速度、補正情報の受信環境が作業条件に合わなければ、狙った経路を正確に走行できるとは限りません。ほ場の傾斜や周辺の障害物、使用する農業機械との適合性も踏まえ、実際の作業で性能を発揮できる製品を選びましょう。

まとめ|自動操舵は「必要な精度」で選ぶことが重要

自動操舵は、作業内容に合った精度のシステムを選ぶだけでなく、導入後も実際の走行精度や作業の仕上がりを見ながら運用することが大切です。導入前に想定した効果が得られているかを確かめ、ほ場の条件や作業方法に応じて設定や運用を見直しましょう。

THREE SELECTIONS
【目的別】
おすすめの
自動操舵システム3選
自社農園に合った自動操舵システムを選定するには、利用目的をはっきりさせましょう。
「広い圃場での作業スピードを向上させたい」「作業計画の管理を効率化したい」「初心者にも操縦を任せたい」といった目的ごとに自動操舵システムを紹介しますので、製品選びの参考にしてください。
広い圃場での高速作業
高速稼働と安定した通信で
ストレスなく作業できる
ALLYNAV
ALLYNAV
画像引用元:AllynavAG公式HP
(https://www.rc-AllyNav-AG.com/product_info.php/cPath/1343/products_id/22773)
こんな課題を持つ方におすすめ
  • 広大な土地で適期作業が遅れる可能性がある
  • ガイダンスシステムの画面が停止し、作業が途中で止まる
おすすめの理由
  • 業界トップクラスの35km/hの速度※で、広範囲の作業を迅速に完了。時期を逃せない重要な収穫作業でも、納期遅れのリスクを回避
  • 通信が不安定になりがちな防風林や建物近くの圃場でも、ネット環境に依存しない補正情報システムの利用で安定稼働を実現
料金
847,000円(税込)~

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農場管理の効率化
データを活用し
資材・コストのムダを減らせる
FJDynamics
FJDynamics
画像引用元:FAG公式HP
(https://www.fagcorp.com/product/fjdat2max農機自動操舵システム)
こんな課題を持つ方におすすめ
  • 作業計画や記録に時間と手間がかかる
  • 重複散布などで肥料等の資材を無駄に使っている
おすすめの理由
  • 複数台の農機の状態・作業記録をリアルタイムで可視化。位置情報と作業記録の一元管理により、無駄な作業の改善が進められる
  • 肥料の施肥量や機械ごとの作業データを蓄積。データに基づく散布量の自動調整で資材ロスを削減
料金
1,045,000円(税込)~

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操縦者の固定化防止
ミスが起きにくい設計で
超初心者でも扱える
トプコン
トプコン
画像引用元:トプコン公式HP
(https://www.topconpositioning.asia/jp/ja/products/brand/topcon/xc1xr1-xc1plusxr1/)
こんな課題を持つ方におすすめ
  • 新人指導や設定に時間がかかり、作業準備が進まない
  • 経験差で仕上がりにムラが出る
おすすめの理由
  • 登録圃場に到着するだけで、必要なデータを自動表示。新人への複雑な設定指導が不要となり、すぐに作業を始められる
  • アシスタントボタンで自動操舵の開始や停止、ライン修正などをワンタッチで操作できる。 熟練度に関わらず操作ミスを防ぎ、安定した作業が可能
料金
公式HPに記載なし

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※2025年8月29日調査時点。Googleで「自動操舵システム」と検索した結果の100位以内の公式HPの中から、日本国内で公表されているメーカーによる自動操舵システムの14製品の稼働速度を比較した最速値。IMUなどのオプション機能での速度も含む(編集チーム調べ)

3大メーカーがまるわかり
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ALLYNAV

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製品名 AllyNav AF305/AF718 自動操舵システム FJD農機自動操舵システム XD/AGS-2-SET・AES-35
初期費用 847,000円(税込)~ 1,045,000円(税込)~ 記載なし
補正情報精度 ≤±2.5cm ≤±2.5cm ±2~3cm
速度 0.1~35km/h※デュアルIMUの場合 0.7km~12km/h
(オプション:0.1km/h~)
0.1km/h~25km/h
機能をもっと見る
ALLYNAV
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トプコン
対応可能経路 ターン、直線、カーブ、曲線、Uターン、ピボット、90° 直線、ピボット、平行カーブ、自動ターンA+ライン 直進、枕地旋回、0.5m~小旋回性能(オプション)
オプション ・リモコン&ハンドルボタン
・カメラ
・レベリングシステム
・wifiカメラ
・物理ボタン
・ホール型センサー
・FAG独自RTK基地局
・Bluetoothボタン
・ホイールアングルセンサー(低速調整)
・枕地旋回機能
・可変施肥機(散布マップ作成)
・Xlinks(ISOBUS非対応作業機でも制御可能)
ISOBUS対応 〇 〇 〇
アップデート費用 無料 無料 無料
サポート体制 連携先の代理店によるチャット・電話などのサポート チャットサポート・遠隔サポート・訪問サポート フリーダイヤルコールセンター(平日9時-17時)
保証期間 2年保証 最大2年保証
※有償にて5年間延長保証にも対応。
1年保証
導入実績数 世界中で累計35万台以上(2025年6月時点)※1 世界中で20万台以上
国内で6,500台以上
(2025年6月調査時点)※2
記載なし

※1:参照元:AllynavAG公式HP(https://www.landingpage-synergy.com/Hs7mDRdM/)
※2:参照元:FAG公式HP(https://www.fagcorp.com/voice)