自動操舵システムを活用するうえで欠かせないのが「境界線」の設定です。圃場の形状や障害物の有無に応じて、正確な境界線を引くことが作業精度や安全性に直結します。この記事では、自動操舵システムにおける境界線の役割や、実際の設定手順、そして設定時によくあるトラブルとその対処法を解説します。
自動操舵システムでは、機械が圃場内を自律的に走行するため、起点や終点を明確に定めることが求められます。境界線を設定することで、作業範囲の逸脱や圃場外への誤進入を防ぐことができ、正確な作業が実現可能です。これは、単なる効率の話にとどまらず、安全な運用を支える基盤ともなります。
境界線の存在は、作業効率にも大きな影響を及ぼします。明確なラインに沿って機械が動くことで、重複作業や未処理エリアの発生を抑えることが可能です。特に複雑な形状を持つ圃場や障害物が多い環境では、境界線の正確さが作業全体のスムーズさを左右する要因となります。
一般的には、トラクターを圃場の周囲に沿って一周させ、その走行軌跡を記録することで境界線を設定します。一度記録したラインは保存され、次回以降も再利用することができ、作業のたびに同じエリアをカバーする農家にとって、大きな負担軽減につながります。
圃場によっては、直線だけでなく曲線や鋭角、入り組んだ形状が存在する場合もあります。こうした場面では、境界線の記録時に慎重な操作が求められます。不整形地に対応するためには、あらかじめ全体の形状を把握し、機械が正確に認識できるよう丁寧に走行ルートを描くことが重要です。
境界線の設定にはGNSS受信機やIMUといった機器が用いられます。GNSSは正確な位置情報を取得し、IMUはトラクターの傾きや加速度を補正します。こうしたセンサーからの情報をもとに、タッチパネル式のコントローラーで境界線を設定・修正する流れが一般的です。各機器の状態を確認しながら作業を進めることで、精度の高いラインを記録できます。
設定時によくあるトラブルのひとつが、GPS信号の不安定さによって正しい境界線が記録できないことです。この問題は、曇天や地形、樹木などによる信号遮断が原因となるケースが多く見られます。対策としては、事前に受信状態を確認し、初期キャリブレーションを丁寧に行うことが基本です。
圃場内に大きな木や設備、用水路などの障害物がある場合、そのまま境界線を引くと誤作動や接触のリスクが生じます。このようなケースでは、障害物を避けるルートを仮想的に境界線として設定することで、安全性を確保できます。現場の状況をよく観察し、柔軟に対応することが重要です。
以前に設定した境界線データを活用することで、作業のたびに再設定を行う手間が省けます。ただし、地形の変化や障害物の位置変更などがある可能性もあるため、再利用前には現地確認を行い、必要に応じて修正することが重要です。
自動操舵システムの運用において、境界線の設定は作業精度や安全性を支える重要な要素です。正確なラインを引くことで無駄な走行を防ぎ、効率的な作業が可能になります。圃場ごとの特性を理解し、設定手順や機器の扱いを正しく把握することで、トラブルを未然に防ぐことができます。境界線の重要性を押さえたうえで、より快適で高精度な自動操舵の活用を目指しましょう。
2022/11/24時点、Googleで「自動操舵システム」と検索し、表示された自動操舵システムメーカーと、農林水産省公式HP(https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/forum/R2smaforum/mattingu/system.html)に記載されているメーカー11社の中から、2022年10月時点、「社名 自動操舵」というキーワードをGoogleキーワードプランナーで調べた結果、月間検索数が多かったメーカー上位3社を認知度が高いメーカーとして紹介。
(※1)別途代理店による取付費用10万円(税込)~。業界トップレベルの安さとは、当サイト編集チームが11メーカーを調べた結果最安値だったため。
(※2)2023年1月調査時点
(※3)オプション機能。
(※4)参照元:ロボット大賞公式HP(https://robotaward.jp/archive/2020/)
FJDynamics
|
ニコン・トリンブル
|
トプコン
|
|
---|---|---|---|
製品名 | FJD農機自動操舵システム | ・Trimble GFX-750+Autopilot Motor Drive or EZ-Pilot Pro ・Trimble GFX-350+Autopilot Motor Drive or EZ-Pilot Pro |
XD/AGS-2-SET・AES-35 |
初期費用 | 99万円(税込) 取付10万円~(税込) |
2,500,000円前後(税不明) | 記載なし |
補正情報精度 | ≤±2.5cm | ±2~3㎝ 作業により±15~30㎝、±20~30㎝の場合もあり。 |
±2~3㎝ |
速度 | 0.7km~12km/h (オプション:0.1km/h~) |
0.1km/h~ ※EZ-Pilot Proは1.6km/h以上で自動操舵をサポート |
0.1km/h~25km/h |
FJDynamics
|
ニコン・トリンブル
|
トプコン
|
|
---|---|---|---|
対応可能経路 | 直線、ピポット、平行カーブ、自動ターンA+ライン | 自動旋回機能(オプション) | 直進、枕地旋回、0.5m~小旋回性能(オプション) |
オプション | ・wifiカメラ ・物理ボタン ・ホール型センサー ・FAG独自RTK基地局 ・Bluetoothボタン |
自動旋回機能 NextSwath | ・ホイールアングルセンサー(低速調整) ・枕地旋回機能 ・可変施肥機(散布マップ作成) ・Xlinks(ISOBUS非対応作業機でも制御可能) |
ISOBUS対応 | 〇 | 〇 | 〇 |
アップデート費用 | 無料 | 無料 | 無料 |
サポート体制 | チャットサポート・遠隔サポート・訪問サポート | 購入者専用サイトにて対応 | フリーダイヤルコールセンター(平日9時-17時) |
保証期間 | 最大2年保証 ※有償にて5年間延長保証にも対応。 |
3年保証 ※有償にて5年間延長保証にも対応 |
1年保証 |
導入実勢数 | 世界中で2万台以上 国内2000台 (2023年1月調査時点) |
累計販売台数1万台突破 (2023年1月調査時点) |
記載なし |